スポーツ・カレー・ミュージック

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余はいかにしてスワローズクルーとなりしか

「そもそもイーグルスファンのくせになぜスワローズクルーなのか」

いくら家から一番近く、球場愛好家、なおかつチケットの割引をしてくれるからとは言え、イーグルスファンが入会するのはあまり自然な行いとはいいがたい。

東北ルーツ民としては足を向けて寝られない男こと嶋基宏の応援のためかと言われるかもしれないけど入会したのは2019年度からなので嶋のためではない。

 

それは巻き戻る事2018年秋のこと


この年のヤクルトは二位でクライマックスシリーズの出場を決めていた。
それが決まった非、年に何度か一緒に球場へ行き、日ごろからちょいちょい野球の話題で連絡をする友達(仮称:浅村さん)へクライマックスシリーズ出場のお祝いのメッセージを送った。
その前年2017年のスワローズはスローガンの通り「目を覚ませ! 」としか言いようがない負けっぷりで、ぶっちぎりの最下位をひた走っていた。なので二位が確定した時の浅村さんのテンションは非常に高く
クライマックスシリーズ観に行きましょう!!!」
「いいですね!チーム状態悪くなさそうだしファイナルはきっと行けると思いますよ!」
と大いに盛り上がり、一緒に行くことにはなった。
だがチケットについて調べるとファンクラブに入っていないとなかなか難しいだろうという事をその数時間後に思い知らされる。


当時スワローズクルーに入会していなかった自分は一瞬焦りはしたのだが、クルーの友達(仮称:銀次君)の存在を思い出し、「ファンクラブなら確実に簡単に取れるんじゃね?」などという甘い気持ちで「なんでもいいし、どこでもいいよ~二試合目がいいな~」などというふざけたオーダーを銀次君に出し、その時点ですっかり行けるつもりになっていたのである。

が、しかし。昨年の惨劇があってのSwallows RISING~再起~だったこともあってか先着受付開始早々にサーバーが落ち、全くつながらない状態になった(らしい)
自分だったらこの時点で諦めて「いやーサーバー落ちちゃってさ~ごめんごめん」なんて言って終わらせそうなものなのだけど、銀次君は違った。何時間もリロードをし、自分が行くわけでもないのに一生懸命空いている連番席を探してくれたのである。さすがにこの時ばかりは何もできないで「お願いします!」botとなっている事に申し訳なさを感じるほどであった。
そうやって銀次君が一生懸命粘ってくれたおかげで幸運にも連番で2枚手に入れる事が出来た。10月14日のGame2である。ヤクルトファンと行くんだからヤクルトが勝ち抜く姿を見た方がいいだろう。根拠もなくヤクルトの勝ちを確信し、そんな気持ちで選んだ日にちである。

 

2018年10月14日。野球好きならぴんとくるかもしれない。
結末から言えばその日はジャイアンツの菅野智之クライマックスシリーズ史上初のノーヒットノーランを達成した日である。
前日巨人が勝っていたこともあって、試合開始前は「菅野は神宮苦手だから!今日勝って勢いで明日も勝てばいいんですよ!」なんて調子のいい事を宣っていた自分も3回終わりには「一巡したからこれから・・・」とやや声が震え始め、6回が終わるころには「ま、満塁ホームラン出れば勝てますから・・・当たりは悪くないですから・・・」と絞り出すような声で浅村さんを励まし続ける他なかったのだが、そんな白々しい励ましも虚しくチケットを取ってくれた時の銀次君が見せてくれたような粘りを見せることもなく、割とあっさりと、そして自分史上初にして割と最悪の形でノーヒットノーランを目撃する事となった。

何を言えばいいかわからないとはまさにあの時の事で、わからなくなった挙句あの日山田哲人ハイボールを頼むともらえた山田哲人トリプルスリーカードなるものを「よ、よかったらこれどうぞ」とノーヒットノーランを喰らって傷心してるであろうヤクルトファンには何の励ましにもならない紙切れを渡すというポンコツマシーンとなってしまった。

帰り道も何を喋ったかあまり覚えていない程なので、とにかく空気が重くならないように思いつく言葉をひたすら発してただけなのだろうと思う。
浅村さんはもちろん元気はなかったものの「逆にここまでされたら上がってく一方なんで、来年からの応援も頑張れます!」と言ってくれた事はよく覚えていて(俺には何の罪もないのだけど)少し救われた気持ちになった。

 

そんなこんなで銀次君には迷惑をかけるし、浅村さんにはとんでもないものを見せてしまい、己の無力さと色々と申し訳なさを感じて「まぁ来年は銀次君の分も俺が取ればいいんだわ。割引率考えたらファンクラブ入会して損はないやろ。元を取るくらい行けばいい話。KEEP ON RISINGや!」と思い入会して今に至るわけである。

 

が、しかし「上がってく一方なんで!」という浅村さんの言葉や「来年取ればいいんだわ」という自分の呑気さを嘲笑うかのように「KEEP ON RISING 躍進(毛沢東もびっくり)」だったり「(黒星)NEVER STOP~突き進め!(連敗街道)」と過去二年スワローズは低空飛行を続ける。燕が低く飛ぶと雨が降るなどと言われる事が集中豪雨が起こるとしか思えないレベルの低空飛行であった。(実際集中豪雨に見舞われたくらいの悲惨さのある成績だと言えなくもない)

そんな低迷が続く中、スワローズクルーが至れる尽くせりなものだから、すっかりぬるま湯に浸ってしまい、今に至るのである。

そしてようやく今年、である。やっと銀次君に恩返しをする機会がきた。チケットが取れるかわからないけど、結果がどうであれ銀次君があの時頑張ってくれた以上には諦めないで頑張ろうと思う。

そして銀次君の分ともうひと試合分チケットが取りたいというのが本心だったりもする。浅村さんの分である。ファンにとってはなかなか悲惨な光景、体験をさせてしまった罪悪感的なもの(繰り返すが俺には何の罪もない)が自分の中にはずっと残っていて、今回チケットが取れればそれもようやく解消できるような気はする。
チケットをとれるかはわからない、取れたところで浅村さんが行けるかどうかもわからない。ただ誘い文句だけは決まっていたりもする。

「今度はスワローズの勝つところを観に行きませんか?」

 

この二つが達成出来たら来年スワローズクルーは継続しなくてもいいのかもしれないね。

 

2018年の夏と感染症時代、そして楽しさのクリエイト

2019年~2020年の1月までがここまでの人生で最も充実していたんじゃないか。そんなことをInstagramを振り返ってみると思う。

24時間365日全てにおいて一切無駄がなかったし、(ラグビーワールドカップがあったとはいえ)行ったライブも本当に良かったのが多かったし、野球も10月には行けなかったのに35試合くらい現地だったので、充実しきってたと言ってもいい。

 

これが達成できたのは仕事も遊びも自分でコントロール出来る術を体得出来るようになってきたのも大きいんだけど、実は2018年の夏の惨敗というのが大きい。

もう忘れてる人も多いんだろうけど、2018年の夏というのはとにかく暑かった。夏に無類の強さを誇る自分でも野球に観に行くのを辞めてしまうほどに。

その結果年間で10試合行かないくらいの観戦数で(ちゃんと数えたこともないけど)人生で最小の年間現地観戦数なんじゃないかと思う。そしてこれが本当に悔しかったというかなんかすごい屈辱的な感じで「来年は絶対この悔しさを晴らす」と思って望んだのが2019年だったりする。

やりきると決めると人並み以上の計画性と体力と行動力を発揮するので結果的に土日揃って何も無いという週がほとんどないアホスケジュールになってしまったのだけど。

 

2020年もその勢いでラグビー、宝塚、沖縄キャンプと予定ぎっしりだったのだけど、そこに現れたのが感染症からの緊急事態宣言。一回目の緊急事態宣言が明けても色々制限があったり、無観客になってしまったりはするんだけど、自分は「行きたいもんに行けるなら行くわ」というスタンスで動いていたりはする。酒も飲まないし、喋らないし、文句あんのかくらいの気持ちで。

別にアナーキストを気取りたいわけでも誰かと繋がっていたとか、そういう感情ではなくて(いかなる理由であれ)動かないことに慣れてしまうと人間というのはアクティブさを取り戻すのに苦労する。なんとなくそんな恐怖心のやうなものがある。若いうちならともかく、もう若いとも言っていられない年齢なので尚更苦労するんじゃないかと思うし、自分の「楽しい」は自分で作れる、作ってきた自負があるし、これからもそうやっていくつもり。

なのでそのスキルがなくなってしまったら極端な話、生きていても仕方がない、そんな生き方はゴメンだなと思う。なのでまだしばらく続くであろう特殊ルールをちゃんと把握した上で、そのルールに則って、範囲内で「楽しい」を作っていきたいなぁと思う。

 

ウイルスそのものの後遺症じゃなくて、その感染症時代をどう過ごしたかというのは良くも悪くもみんなに影響があるんじゃないかなとは正直思う。きっとその過程で友好関係も少しずつ変わっていくのだろう。でもそれは感染症に関係なく変わっていくものなのだろうし、気にしても仕方がない気もする。

 

誰一人思い通りのことができなかったであろうこの2年に募った気持ちをどう昇華させるか、受け入れるか押しつぶされるかでそれぞれの2022年、2023年が良くも悪くもなるんじゃないかなぁ。自分にとっての2018年がそうであったように。

 

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(写真に特に意味は無い)

2020年読んだ結果おススメする本

 

2020年ももう終わりが見えてきたというのに、どうにもいつもの年末感がないのはなんでなんでしょうかね。そんなにぱーっとやるタイプでもないんですが、まぁ例年なら日本シリーズが終わったくらいに野球総括会という野球を愛する仲間を10人くらい集めて終電まで飲んで~というのを皮切りに色々なコミュニティの飲み会に参加してたりして~なんてのが年末のテンポだったからなのかもしれません。まぁそんなことどうでもいいや。

せっかくなので(気が向いたので)2020年に読んだ面白かった本を記録しておくことにします。年末年始に読書しようかな、みたいな人の参考になればこれ幸いです。

 

1.国際スポーツイベント 成功の舞台裏

本来ならば今年開催だった東京オリンピック。延期したはいいけど、やれるのか半信半疑なところはありつつ、この大会への参加を目指してきたアスリートの気持ちを思うと「中止でいいよね」とも簡単には言えず、、、というスタンスなんですが、その辺の心情的なところはともかくとして、人やお金の動き等々からこういう大会を考えるためにはこれくらいの事は抑えておかないとダメなんだろうなぁという感じ。
著者が2002年のサッカーワールドカップ、2007年の大阪世界陸上、そして昨年のラグビーワールドカップの裏側に立ち会っているので競技ごとによって微妙に異なるお金や人の動きの違いというのを説明してくれているのでスポーツビジネスというのを語る上では抑えておきたい一冊なんじゃなかろうかと。

 

国際スポーツイベント 成功の舞台裏 数々の国際スポーツイベントを成功に導いたノウハウとは
2.感染症 増補版-広がり方と防ぎ方 
 
 

 

2.感染症 増補版-広がり方と防ぎ方

今年は嫌でも勉強させられたのがこのテーマなんじゃないでしょうかね。
増補版とあるのは新型コロナウイルスの箇所で、書かれているのは感染症概論という感じ。まるでウイルスが意思を持っているかのような言い方をする人と出くわしたりすることがあったりするんだけど、そんな変幻自在なものでもなくて、パターンとしてはとてもシンプルというかわかりやすいのがウイルスというもので、シンプルながらも盲点というか人間の嫌なところ衝いてくるのが嫌らしいんだよなぁっていう。色々な情報が出てくる今だからこそ基本のキくらいは抑えておかないと無駄に疲れるだけだろうし、そういった意味ではこの本はそれを知るには最適なんじゃないかなぁ。

 

感染症 増補版 広がり方と防ぎ方 (中公新書)
 

 

3.世界全史~「35の鍵」で身につく一生モノの歴史力~

これは緊急事態宣言の時に読んだ本だったはず。
「よーし!世界史勉強しちゃうぞ~!」って人がこれを読んでも面白いのか、、、っていうか理解できるのか不明。ただ世界史を一通り習ってた人、知ってる人からすれば「これとそれ繋がるんだ~!」みたいな今までと違う視野から世界史を見ることができて、深くというか多角的に歴史の流れとか事件を見られるようになれるんじゃないかなぁ。という意味で受験生が勉強の休み時間に読むのも有りかもね(責任は取らないよ)
世界史に自信あるぜ!みたいな人に面白いかは知りませんけど(笑)

 

 

4.詰むや、詰まざるや-森・西武 vs 野村・ヤクルトの2年間-

最近(っていうかこの二年)の日本シリーズが本当に詰まらなくて「今までやってきたことをやるだけです!」とか言って成す術もなく敗退してるジャイアンツを見ると日本シリーズの冒涜だよな、っていう気さえしてしまうんだけど、それって多分この本みたいな日本シリーズの駆け引き的な話を今までさんざん読んできたからなんだろうな、という感じ。
黄金期西武は何故に強かったか、そして90年代のヤクルトが強くなった理由、そして野村野球とはみたいなところが全部詰まっているような気がする。92年と93年の日本シリーズはワンセットで史上最高の日本シリーズなんだよなぁ、、、と思わざるを得ないくらい本当によくできた話というか「事実は小説より奇なり」ってのを感じさせます。野球好きは必読。

 

 

 

5.グラフのウソを見破る技術――マイアミ大学ビジュアル・ジャーナリズム講座

人の拠るかなぁとは正直思う。「目から鱗でした!!」みたいな人がいたら、正直ちょっと引くかもしれない。というくらいに疑い深いというか「どんなグラフ出せても自分が腹落ちしない限り納得なんてしないぞ!!」みたいなクソめんどくさいメンタリティの持ち主である自分には「だよね~」ってことが多かったかなという感じはする。
ただ「グラフのウソを見破る」までいかないまでも、疑ってみるのって意識付けと解析の仕方の引き出し次第のところは大きいと思うのでそういうノウハウを得るんだ、くらいの軽い気持ちで読むといいかもしれない。

 

 

 

7.「バカ」の研究

割と刺激的なタイトルなんだけど、Psychologie de la connerieだからまぁ「バカの心理学」くらいが適切なんだろうなぁ。ここで言うバカってのは勉強ができる、知識の多寡で決まる絶対的なステータス的なものではなくて、カーネマンの言うところのシステム1というか無意識、あるいはバイアスといったところに対する鈍感さといった部分のことで誰もが「バカ」な状態になり得るというのを心理学的アプローチでまじめに論じてるんだけど、自戒するためにもタメになるし、到底理解しえぬ行動、考え、思考等が可視化されるようになった今理解しえぬもののメカニズムを理解できるようになるってだけで有用な本だと思う。

 

 

8.アスリートの科学-能力を極限まで引き出す秘密

自分が小中学生の頃はスマホはおろか携帯すらあまり普及してなかったし、YouTubeなんてものもなかったし、Suicaパスネットですけど!!みたいな世界だったことを思うと本当にテクノロジーやサイエンスってのは発展してて、当然スポーツの世界もその影響がないわけがないんだよねぇ。やる気が!根性が!みたいな精神論を全て否定もせんけど、知と熱の両輪ちゃんと回さないと結果は出せなくなって来てるんだろうなぁ。プレーヤーとかよりも指導者とかコーチングに関わる人がちゃんと読むべき1冊。

 

 

 

9.すぐわかるラグビールールレフリング・プレー・観戦の基本

出たばっかりなんだけど、すぐ買ってすぐ読んでしまったw
これ何がいいって矢野修平さんという現役の国際A級レフリーが「実際のプレーで起こりそうな動きやフォームを写真と文字でちゃんと説明してるところ」だと思う。いわゆるラグビー詳しい人ってこの辺の動きのパターンを(観戦した試合数重ねることで)認識して脳内に貯蓄したものを実際起こったプレーに当てはめて良い悪いだなんだかんだ言ってるだけなんだと思うので、とりあえずこれで基本的なレフリングの視点を学ぶのがラグビーを深く楽しむための最短ルートじゃないかなと思う。

 

 

 

こうしてみると割とスポーツに偏ってしまったなぁと思うんだけど、この分野なら突っ込まれてもなんとかなるしね、みたいな甘えがあったことも否めなかったりもする。(身近にド専門の人多すぎるのも怖いんですよ、色々)

ちなみに冊数に深い意味はなくて、何冊でもよかったんだけど野球のスタメンの人数に合わせただけです。

 

 

トップリーグチケット販売について(喜ばしく)思うこと

新型コロナウイルスの感染者数がまぁまた増えてはおりますが、選手、関係者、観客等々みんなの最新の注意もあって、なんとかんとかスポーツの興行が行われていて嬉しいというかありがたい限りだなぁと思う2020年。春先のプロ野球が開幕できなかった頃の絶望感は本当にすごかったので、ありがたみを本当に感じます。

というわけであっという間に秋が過ぎ、冬となり本格的なラグビーシーズンが到来で、日本最高峰トップリーグのチケット抽選も始まりました。ワールドカップの熱気を持ったままトップリーグも盛況だったのに第六節で打ち切りと関係者、愛好家は本当に臍を嚙む思いだったと思うんですが、ラグビー自体がどうのこうのではなく、こればかりはどうしようもないことなので、またここからみんなでファンを増やしていきたいものですな。

 

って事でチケットの販売方法が明らかになって思うことがあったのでメモがてら書き記すことにします。

昨年のトップリーグのチケットってなかなか地獄で(昔はそんなことなかったのにねw)、シーズンを前半と後半に分けて、それぞれ発売日に先着で販売していたんですが、JRFU会員は優先購入ができました。が、会員数が多すぎるのか一度に大量に買えすぎるのか。会員優先販売の段階で都市部で開催されるほとんどのカードは即完(2019年ワールドカップメンバーのいないチームは買えるとかそういう世界)でした。

買えないほどラグビー観たい人がいるなんて!!!っていう喜び半分でしたが、「今本当に競技場に来てほしい人たち」=いわゆる「にわかファン」が買うにはあまりにハードルが高い状態になっててちょっともやもやするものがありました。

ラグビー協会もそれをいいとは思ってなかったようで、今年は二段階の抽選を経て、一般発売(会員の優先先着はなし)となっています。これはもう素直に評価していいと思います。
また昨年は雑に前半、後半みたいな売り方だったのを(払い戻しのリスクも踏まえてだろうけど)2,3節ごと細かく発売日、申し込み期間を設定してて「先に売ってまえ!」「とりあえずこうとけ!!」みたいな感じの広島カー・・・げふげふアンフレンドリーな売り方をやめた点もとても評価したいなと思います。


で、売り方がJRFU会員~ラグビーファンID会員(無料で登録可能)~一般販売という感じ。ここに差をつけるのは(年間3000円とかだけど)お金払ってる会員に優先権があるのはまぁ普通の道理ですよね。でもこれだとJRFU会員が殺到したらラグビーファンIDになんて回ってこないのでは??とちょっと思ってたんですけど、実際抽選申し込みが始まってみたらよく考えられた仕組みだなぁと感心しました。

どこに感心したかというと「それぞれの申し込みにつき1節1席種」しか買えない点。いや、不便ですけどね。土曜も日曜も観に行きたい自分にとっては本当に不便。だけど、フェアでいいなとも思います。

これはどういうことかというとn節の試合が土曜、日曜に行われるとします。
土曜日のS席と日曜日のS席が購入したいと考えていても「一回の申し込みでどちらも購入することは無理」なんですよね。節の試合別×席のグレード別での申し込みで第三希望まで選べるんですが、「第三希望まで申し込んだところで当たるの一つ」です。なので、買い占めのようなものが起こらないし、無駄な重複も起こらない。一気に買えないから不便だけど、JRFU会員は二度チャンスがあるので明らかに得してるなのでどこかが過剰に利を得てるとも言えないし、逆もまた然り。既存のファンも蔑ろにせず、新規のファンにも過酷でもない(おまけにラグビーファンIDっていうJRFU会員は登録する旨味があまりなさそうなものに加入させることができて顧客データ収集もできるし)本当にいい仕組みなんじゃないかなぁって思います。

色々非難される事が多いし、まぁ実際問題ある事も多いんだけど、ラグビー協会も改善の兆しが見えてわたしゃ嬉しい限りですよ。

 

まぁどういう流れでこんな傍流にたどり着くのかは知りませんが、ラグビーのチケットや観戦で質問等あればわかる限りお答えするので、いつでもどうぞ

 

(ちなみに余談ですが、ラグビー界における人気カードの一つ、早慶戦早明戦は未だに早いもの順です。これは管轄の違いで、この二つの管轄は「関東ラグビー協会」で大学選手権は「日本ラグビー協会」の管轄。なので大学選手権は抽選してくれるのに早慶戦早明戦ではしないというわけです。良し悪しとか将来的にはどうなるかわからないですが、構造的な問題なのですよ)

映画『甲子園~フィールド・オブ・ドリームス』を見て思うことの雑記・メモ

初めに言っておきますが思い切りネタバレします。
上映館減ってきたけど、読みたくない人はここでおやめくださいな(アクセスありがとうございます)

 

https://www.instagram.com/p/CE9Hh5uJlXw/

今日で(丸の内では)最終日だったので「甲子園~フィールド・オブ・ドリームス」へ。甲子園とはなんぞやというのを定義するのって実は難しくて、部活でありスポーツの大会であり、興行なんですよねぇ。なのでありふれた正論を言ったところでそれは甲子園というか高校野球の一側面を切り取ったものでしかないんだよなぁとは正直思う。ただそういう立ち位置からしても覚える違和感もあったし、逆に的を得たりというところもあったり。ドキュメンタリーだからこそ見えてくる高校野球の現実の断片というものが垣間見えた気がするし、自分なりの考えと言うのはこの作品を見る中でぼんやり浮かんできた気はする。機会があったら見た方がええと思いますわ

 

 

「甲子園~フィールド・オブ・ドリームス」を観てきました。(ESPNで紹介されたっていうのを知ってから1回観てみたいとは思っていたくせに上映されてたのを知らずで、友人に教えられて気づくという大マヌケっぷり)

 

www.nikkansports.com


思ったことをつらつら書くだけなので、作品の時系列は無視してるし、深い考察とかはご期待なさらず。(多分オチもないような話になると思います。)


映画『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』予告編

 

この作品は夏の甲子園の大会そのものというよりは「甲子園を目指す人達のリアル」というところに焦点が当て、100回目の(すなわち大阪桐蔭が優勝した2018年の)甲子園を目指す2つの高校を追いかけたもの。主な登場人物は横浜隼人高校の水谷監督、花巻東高校の佐々木監督を中心とした家族、選手、関係者。時折(OBということもあってか)菊池雄星大谷翔平のインタビューも入ってきます。

 

どういう経緯でこの2人、2校を選んだのかは分かりませんが、結果としてこのチョイスがすごい上手く効いてて、水谷先生率いる横浜隼人高校は(17年ぶりに)初陣で横浜商業(オールドファン大好きのY校ですね)に破れ、佐々木監督の花巻東は甲子園出場を果たします。

とはいえこの2人、特に縁もゆかりも無いわけでもなくて、佐々木監督が学生コーチとして水谷監督の下で色々教わった師弟関係で、佐々木監督は結婚式の仲人を水谷監督にお願いしたほど。

甲子園出場回数もそうだし、菊池雄星大谷翔平等を輩出したってこともあって佐々木監督が若干天狗になったりしてもおかしくはなさそうだけど、「水谷監督に教えられて今がある」と佐々木監督はしっかり恩義を感じているし、水谷監督は水谷監督で「自分のとこだと子供だから~」という理由で自分の下で野球をやらせる事に抵抗がある様子で、次男の公省君を花巻東に入学させてたくらいなのでいい信頼関係ができてる感じでした。
(と映画見ただけだと上記の通り感じてしまったんだけど、親父さんの意思は関係なく、本人が花巻東への進学を決めたみたいです)

number.bunshun.jp

 

ちなみに記事にもあるように(映画中出てくる)秋の新チームでは1年生ながら四番を打たせてもらい、今やドラフト候補なんだそうな。

 

また佐々木監督が天狗になってないという所ですごい印象的だったのは大谷翔平について語る時の言葉。

数年前から盆栽にハマっているらしいんだけど、盆栽というのは器より大きくは育たないらしく、それを教育にも準え

「自分も選手を大きい器に入れて育てただけ」

大谷翔平に出会うまで何人もの投手を無理矢理自分の器に入れて殺してきたかと思うと大谷翔平を育てたなんて恐ろしくて言えない」

というのがこの映画で1番響いたシーンだったような気もする。また盆栽って若くて柔らかい時期には鋼を巻いて折れないようにする、ある程度の時期が来ると鋼が枝に巻きついてるのが窮屈で大きくならないから外すらしく、その辺を上手く自分の指導、教育に反映させているんだなというのが作品を通して随所から感じ取れました。

 

一方水谷監督率いる横浜隼人高校の描写では監督と同じくらい佐藤龍門君というベンチ入り当落線上の学生にもスポットが当てられています。(映画では描かれないんだけど)ここ一番でポカが多いことに加えて、身体ができておらず設定された体重72kgを超えるまで練習には参加させてもらえず隙あらば白米にふりかけをかけて食べて・・・という感じ。そして無事その体重を超えて、練習参加するものの守備のミス(ゴロのファウルボールへの判断)ですごい怒られ、カロリーノートの記入もやらなかったこともあり(トレーナーかコーチみたいな人に「なんで付けないんや」と問い詰められはしていたけど、そこをうまくやらすのもコーチングじゃねぇかなぁとか思ったんですが)体重も落ちてしまい、最後のメンバー発表ではベンチ入りが叶いません。
個人的にはこの一連の過程が好きではないというかとりあえず下の二点は今後高校野球界で改善していけるとこなのではないかと感じました。

1.体重管理について
当たり前ですが、身体は突然大きくなるものではなく、栄養とトレーニングの掛け算で大きくなるものです。個人個人の体質の問題もあるし、アマチュアスポーツで予算の問題ももちろんあるんだけど、個人の努力(ノート付けとかね)ベースで科学的手段を無視したように見えるアプローチってどうなんだろうなって思いました。選手の頑張り、責任もあるけどこれって指導者側の責任がないところでもないんじゃないかなぁっていう気がします。

2.部活は勝負なのか教育の一環なのか
佐藤君は前述の通り、ベンチ入りが叶いません。水谷監督も嫌がらせで外したわけではもちろんないし、掴みきれなかった佐藤君が力足らずでした、っていう面はもちろんあるんでしょう。

ただすごいモヤモヤしたのがベンチ入りメンバー発表後の言葉。「横浜隼人の野球部はまず第一に人間としての成長を目指している。全部員が人間として成長することができた(キャプテンをこれに同意させるんだけど)。だったらそれでええやないか」みたいなことをいう(一字一句正確ではないです。)んですけど、まぁこうやって割り切らないと毎年選ぶ外すって作業を行う監督という立場をやってく上で精神的に持たないって面はあるにせよ、ちょっと違うんじゃないかと思いました。
野球を通して人間としての成長云々というのは大人側の理屈で、それなりに強豪校である横浜隼人の野球部に入学してくる子は「野球が上手くなりたい」「甲子園に出たい』という気持ちで入ってくると思うんですよね。だからそこの気持ちに寄り添ってそこに対して責任を持つ、また目標からブレたり、目標達成のためにいきすぎた場合止めてあげるのが指導者側の責任じゃないかと思うし、全て終わった後、結果として「結果は○○だったけど、人間として成長できたな」って選手が自発的に思う話なんじゃないかなぁ。監督含めて野球部が保護者なり関係者にそういう言われたらいいねっていう理屈を納得させるために、かつ上下関係ある中でこの理屈を持ってくるのはどうなんですかねぇ。

 

映画の中では水谷監督自身についても語られます。
水谷監督は徳島県出身で、水谷産業という会社の長男。子供の頃に見た地元徳島の池田高校の快進撃(いわゆる「さわやかイレブン」の時)を見て、池田高校への進学、池田高校の野球部へ入部を親に懇願するも会社の跡取りになってもらうつもりの親からは認められずいわゆる進学校へ進学、1982年の徳島県大会の予選(準々決勝だっけな?)でその池田高校と対戦しますが、(まあ高校野球好きはわかるでしょうが)1982年の池田高校っていうのは「やまびこ打線」で甲子園で優勝するチームなので大敗。

自分が負けたチームが甲子園優勝したというのもあるのかそういったエピソードを交えて池田高校への羨望?のようなものと蔦文也監督から影響があることを水谷監督は映画の中で認めます。このエピソードの時に蔦監督のドキュメンタリーの映像が差し込まれ、まぁ昭和の体育会的というか理不尽に見える指導の様子なんかも垣間見えるんですけど。


昭和57年 池田高校 全安打集


まぁ蔦監督の影響というところもだし、序盤で語られる「昭和の頑固オヤジでありたい」という言葉と指導の実態は(個人的には)一貫性があるなぁという風には思いました。


で、自分はちょっと対比的に見えてしまったんですが、花巻東のエピソードの時に菊池雄星大谷翔平が最後の夏に負けた時のインタビューが出てきます。菊池雄星が「監督さんと日本一になりたかった」とか大谷が「監督さんと甲子園にいって、優勝して岩手の人に喜んでもらいたかった」(これももちろんうろ覚えなので違ってることもあるかも)と言っていたり、最後のほうのカットで新チーム始動の時に生徒に向け佐々木監督が「100回大会を機に坊主頭強制をやめる。古くていいものはいっぱいあるけど、変えなきゃならんものもいっぱいある」と言っていたりして、意図せずして(製作側は意図したのかもだけど)違いが見えたなぁという感じはしました(どちらがいい悪いではないし、今回撮影されてないもの、編集で抜け落ちたものはたくさんあると思います)

 

と、まぁ個人的な思想もあって肩入れしたり、ちょっと批判的になったりしてしまったかもしれないんだけど、どちらの監督も、いや全国の監督が甲子園に出させてやりたい、試合で勝たせてやりたいという思いで一生懸命色々なものを犠牲にして(水谷先生の奥さんの言葉がまた深かったんですけど)いるのが甲子園なんだなぁという感じでした。

 

スポーツの真剣勝負であり、部活の大会であり、日本有数の注目度の高いイベントであり、多くのお金が動く興行であるのが甲子園。すごいバランスが複雑でどこに寄るか、どの立場かによって考え方、見え方なんていうのは全く違ってくると思います。だからこの作品も人によって見え方とか感想が全然違う作品だと思うし、それでいい、そうあるべきいいドキュメンタリーじゃないですかね。(余談ですけど、この作品、ナレーションが入らないし字幕も状況とか人の説明以外ほとんど出てこない(はず)です。もちろん撮影者への受け答えはしているんですが、撮影者の発言が聞こえなくてもスムーズに観られるし、編集している以上なんらかの意図はあるんですが、それが制作側の伝えたいことの押しつけになってないのもいいなぁと思いました)


甲子園について、普段野球見なくても一家言あるような人が毎年夏になると急に増え始めたりして、(いろんなテーマで)一見正しいように聞こえる正論を振り回されたりしてちょっと辟易するし、個人的にしっくりくるものがほとんどありません。だからと言って自分自身もうまく表現できないんですけども。そういう難しさをうまく切り取ったのがこの映画だと思うので、高校野球についての現実を見たい人にオススメ、というかこの映画でなくてもこういうドキュメンタリーをある程度見た上でじゃないと人の心に響く「甲子園論」って語れないのかもなと思いました。


『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』公開記念舞台挨拶 ゲスト:小野塚康之様、山崎エマ監督 @アップリンク京都