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最高のMLB入門書

2月にもなり、NPB各球団はキャンプ入り。球春到来、開幕が待ち遠しい今日この頃。

という事で今日は野球に関する書籍について少々。

 

かつては夢舞台であった、MLBですが、今やメジャー、マイナーに関わらず毎年のように日本選手が移籍し、NHKでの試合中継やスポーツニュースで当たり前のように取り上げられるになりました。

が、NPBと比べて野球機構の構造が複雑(それだけしっかりした組織だと言う事だと思いますけど)だったり、頻繁に移籍が行われる(シーズンオフのFA移籍だけでなく、シーズン中の移籍、とりわけ移籍期限の7月末は大型トレードも多いですね)事もあって、所属選手が覚えにくい等でNPBに関してはとても詳しいのにMLBはそこまで・・・という方も自分の周囲にちらほらいたりします。

贔屓チームを一個決めて、NHKの中継なり、MLB.comなりで試合の結果やstatsなんかをずっと追って行けば自然と広がってきたりもすると思うのですが、これはこれで暴力的というか、いきなりリフトで山頂に連れて行かれ滑ってこい、という形でスキーやスノーボードを教えられるようなもので、誰にでもできるものではあるまい、とも思っています。日本からMLBに行く人も増えた一方、MLBから日本に来る人も増えた昨今では、その選手(例えばメッセンジャーとか)から話を膨らませていくというのも一つの手なのですが、断片的というか細切れなエピソードの紹介でしかなく、一MLB好きとしてはもっと何か良い手段はないものかと思っておりました。

そんな中、入門書として実に良い書籍が出ておりました。

 

はるかなる野球大国をたずねて: MLB伝説の聖地をめぐる旅

はるかなる野球大国をたずねて: MLB伝説の聖地をめぐる旅

 

 

筆者の田代学さんはサンケイスポーツの記者をされており、イチロー選手がマリナーズに移籍した2001年から2013年までMLBの担当をされており、日本人記者としてはBBWAA(全米野球記者協会)の理事やワールドシリーズの公式記録員を務められた方。

あとがきに書いてあるのですが、記者として『MLB』をしっかり取材されてなければどちらも任せられる事のない大役で(BBWAAに所属する事すら楽な事ではないようですけど)、記者としての腕はお墨付き、という事だろうと思ってます。

 

で、肝心の中身なのですが、2013年のサンケイスポーツ東京発刊50周年記念の企画の一つとして2012年のサンケイスポーツ紙面に掲載された連載を加筆・修正したもの。

3部構成となっており、1部はノーラン・ライアンジャッキー・ロビンソンベーブ・ルースと言った伝説のプレーヤーの記念館等を訪れ、そこを糸口に掘り下げたもの。

2部は球場やルイビルスラッガーズ社、スタイナースポーツ社等ややビジネス的な側面からMLBを考察したものになっています。

そして3部はインタビューとなっているのですが、パド・セリグ(元MLBコミッショナー)やバーニー・ウィリアムズ(元NYヤンキース)といった有名どころだけでなく、ジョージ・キング(NY post記者)やブルース・フローミング(元審判)という想いもせぬ人選がなされています。

 

1部であれば「ビッグ・レッド・マシーン」、2部であれば「カナダ野球殿堂博物館」や「建設設計事務所ポピュラス」、3部ならナックルボーラーフィル・ニークロ」等類書でもなかなか触れないであろうというところもきちんと取材をしており、アキ猪瀬さんだとか福島良一さん位MLBに詳しい人でもない限り何かしら学べるものがあると思います。(というか写真がふんだんに盛り込まれており、それを見るだけでも購入の価値はあると思います)

 

この書籍は300ページ程あるのですが、巻末の「MLB全球場ガイド以外全編に4色カラー印刷されているにも関わらず、本体価1800円と購入しやすくて、版元である東京書籍さんはすごいなと素直に思いましたw

 

この書籍でMLBの歴史や環境について大筋を学んだら、自然にMLBに関心が持てるのではないかと思いますが、せっかくなので他にオススメの書籍もあげておきます。

 

ヤンキースのユニフォームにはなぜ選手の名前がないのか?

ヤンキースのユニフォームにはなぜ選手の名前がないのか?

 

「はるかなる野球大国をたずねて」を読んだ後なら復習書的な感じも強いと思います。内容的に重複するところはあまりないので、知識の肉付けになるのではないかと思います。

 

 

米国の光と影と、どうでもイイ話

米国の光と影と、どうでもイイ話

 

 こちらは向井千秋さんの夫として有名な向井万起男さんによる著作。

朝日新聞で連載している「大リーグが大好き」の連載をまとめたものなんですが、マニアックというかアメリカ野球だけでなく、野球を切り口にアメリカ社会についてまで触れられる事もしばしば。エッセイなので、すごく読みやすいです。