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スポーツ・カレー・ミュージック

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「プロ野球・二軍の謎」

いよいよプロ野球2017年シーズンが開幕しましたね。

昨年は我がカープは優勝というものを味わえて、今年ももちろん優勝を目指して欲しいんですが開幕2試合は投手がどうにもピリッとしませんねぇ。先発が先発の仕事を果たしていない。雨の影響もあるからジョンソンはともかく、不運があったとは言え四球で自滅した岡田明丈は実にひどかったですね。いっぺん二軍で鍛え直してこい、と思った人もきっといるでしょう。

というように調子が悪かったりすると「二軍へ行け」とよう言われますが、その二軍。どういう活動をしているのか、アメリカのマイナーとどう違うか。ちゃんと説明できる人は案外少ないのではないかと思います。とりわけ後者の方は日本と似てるところもないとは言えない一方、全く違うところもあったりするのである程度野球の知識ないと厳しい分野。

 

この辺をすっきりわかりやすく説明してくれたのが田口壮著の「プロ野球・二軍の謎」(幻冬舎新書) 

プロ野球・二軍の謎 (幻冬舎新書)

プロ野球・二軍の謎 (幻冬舎新書)

 

 田口壮さんは2016年よりオリックスの二軍監督を務めていますが、現役時代はオリックス内野手として入団後、イップスにより外野にコンバート、そこからイチロー本西厚博(後年は谷佳知)と鉄壁の外野陣を築き、FAでカージナルスに移籍、メジャーリーグマイナーリーグを行き来しながらもフィリーズカブスと全3球団でプレー。日本人で一番チャンピオンズリングを持ってる人ですね。

このキャリアに加え、NHKの解説時代を知っている人ならご存知かもしれませんが、しゃべりも軽快な田口さんなので、本書も詳しくない人にもわかりやすく、詳しい人にも飽きないよう小噺を入れつつ書かれた一冊になっています。

 

章立ては5つから成り

第1章 プロ野球監督はなにをしているか

第2章 日本の二軍とアメリカのマイナー

第3章 二軍の試合が100倍面白くなる!?観戦ガイド

第4章 新人監督のマンスリー・ダイアリー

第5章 二軍監督という仕事

 となっています。

 

「第1章 プロ野球監督はなにをしているか」では24ページほどで二軍選手(と監督コーチ)の1日の流れや二軍の存在定義を一軍と比較しているのがメイン。

 

第3章 二軍の試合が100倍面白くなる!?観戦ガイド」の章は二軍監督としてファンに望むこと、ファンの存在意義的なことが少し書かれていて、そこはいい話なんですけども、章題にちょっと誇張があって、二軍球場ガイド的なものはウエスタンしかない上に文字だけの説明なので、編集が写真用意するとか球場のアクセスとか情報を記載しておくとか。もう少し内容を膨らませて(21Pしかないし)、興味をもった人が球場に行こうと思える仕掛けをしてみてもよいのではないかな、って感じです。

第4章は日経電子版のマンスリー連載を掲載し、シーズン終了後に加筆したもの。のちの第5章と合わせて、「二軍選手に何を期待しているか、どう育てていくか、どうなって欲しいか、自分は何ができるのか」というところが書かれてる感じ。オリックスに一切興味ないと飽きるかもしれないけど、オリックス二軍監督が書いてるんだからまぁしょうがねぇよなという感じ。

 

これだけ書いてるとあまり評価してない感じだけど、この本で一番読み応えのある箇所が「第2章 日本の二軍とアメリカのマイナー」。

長距離移動がバスで移動だとか食事がハンバーガーだとか。そういった意味で「マイナーリーグは過酷」とはよく言われてますが、それだけじゃなくマイナーであっても突然のレイオフがある現実や「オプション」と呼ばれるMLB独特の制度によってメジャーリーガーへの道が熾烈にならざるを得ない現実等。テレビだけではわからないメジャー(マイナー)の知識を補完してくれる感じですかね。

 

この章を読むと衣食住、道具、契約に至るまで日本の二軍というのはすごい恵まれているなとは思います。ただそれで「ハングリー精神がたらん!」というような精神論に持っていくのは違うと個人的には思っていて(精神論嫌いなんですよ)、純粋に競争のパイが多く、かつ競争が熾烈なのでMLBに残れるだけで相当の実力が必要であり、MLBはそういう人たちが集まった集団なのだな、と。そんな事を思わせる一冊でした。

 

日米野球の組織運営的な事に興味がある人には勧めたい一冊です。